佐世保簡易裁判所 事件番号不詳 判決
主文
被告人を罰金三千円に処する。
右罰金を完納することが出来ないときは一日百円の割合をもつて換算したる期間被告人を労役場に留置する。
但本裁判確定の日より一年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
(罪と成るべき事実)
被告人は昭和二十四年四月四日長崎県東彼杵郡川棚町国鉄川棚駅踏切警手に採用され爾来貨車入換作業等の業務に従事して居たものであるが昭和二十七年五月二日午後三時五十分頃右川棚駅構内第一号踏切より彼杵方向に約百二十米附近に於て貨車入換作業に従事中突放貨車セム第五二七八号のステツプに制動のため乗車し発車せんとした。
斯かる場合は前方に監視人の居ない前記第一号踏切があり且被告人の乗車せる貨車のステツプからは該踏切の右側の状況は全然見透しがきかないところから予め貨車に乗る前に踏切附近の様子を確認し踏切に接近する人等の有無を確め若し其の虞れあるときは上司と協議の上前方に監視人を置く等必要な措置を構じ危険を未然に防止すべき注意義務があるのに拘らず不注意に之を怠り何等の措置をとらず慢然と乗車したため前記踏切を国道側より横断せんとして線路内に入つた田島クワ(六十四才)の姿を発見することが出来ずそのまま進行し、よつて前記踏切に於て同貨車右前車輪を同人の身体に突当て同人の左足首を轢断し遂に同日午後十時五十五分頃同町国立川棚病院に於て死亡するに至らしめたものである。
(証拠の標目)(省略)
(法律の適用)
刑法第二百十一条、罰金等臨時措置法第二条、第三条、刑法第十八条第一項、同法第二十五条、刑事訴訟法第百八十一条第一項
(昭和二九年八月二七日佐世保簡易裁判所)